ほていさんの覚書

自分なりの視点で世界を切り取りたい

マダガスカル一人歩き#7ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区

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個人的には、トレッキングやマラソンは苦手です。

理由は、やることが単調で、

ただただ黙々と目的地に進む作業が、無意味に思えるから。

「なんで、わざわざこんなシンドイ思いをしているんだ…?」

と自暴自棄な気持ちになってしまう派です。(笑)

 

だから、このツィンギのトレッキングの日程を見た時には、

正直、不安でした。まる1日かけて、トレッキングをする行程だったから。

 

でも、行ってみた感想は、いい意味で期待を裏切るものでした。

昼食をはさんで約6時間のトレッキングは

想像していたしんどさとは違って、ハラハラドキドキのスリリングなものでした。

 

自然のジャングルジム

 

その理由のひとつが、これ。

散策コースが、自然のジャングルジムのようだったから。

 

 

コースは一応人の手が入っているものの、

ほぼ手付かずの岩、しかもこの鋭利さ。

 

 

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軍手をはめて行きましたが、

その軍手が帰りにはボロボロになっているくらいでした。

 

このむき出しの鋭利な岩の隙間を縫って

見晴らし台や洞窟の中を散策します。

 

この緊張感がなんともいえない楽しさだったように思います。

 

子どもの頃ジャングルジムで遊ぶとき、自分がしっかりと鉄棒を握っていないと

それは即、自分が落下したり、けがをしたりすることにつながり、

そうならないために、必死にそこにしがみつくことに夢中になる感じ。

その夢中になって集中している時間がとても心地よかったんです。

 

実際、このトレッキングコースでは、他のツアー客はみんなザイルをレンタルしていて

それを使いながらつり橋を渡ったり、見晴らし台へ登ったりしていました。

(私は軍手のみ!!)

 

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コースの途中にはフラットなスペースはほとんどなく、

気が休まることがありません。

足元さえも、とがった岩の先端を歩いていかなければならないので、

まっすぐバランスを取ることもしなければいけません。

 

この全身運動、全身体験が今までにない感じで

私は楽しめたんだと思います。

 

 

見晴らし台からの眺めが最高

 

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(コース入り口にある掲示板、アナログ感がたまらない(笑))

 

 

ツィンギのトレッキングコースは3種類あり、

私はそのうちの一番長いブロードウェイコース6時間に挑戦しました。

このコースは、2か所の見晴らし台と洞窟探検が含まれている

まさにフルコースの中身です。

 

トレッキングのスタートはツィンギーを囲む森の中の散策から始まります。

ローカルガイドが先導してくれて、

木の上にいる野生のシファカを見つけて教えてくれたり、

そこに住む固有種を紹介してくれたりしました。

 

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(木の上で戯れているシファカのカップルを見れました。)

 

 

小1時間歩いて、いよいよ岩場に到着。

最小限に手を加えられた足場を登って、見晴らし台に向かいます。

 

足元の不安定さと、断崖絶壁のルートにとにかく必死で、

のんびりと景色を味わう余裕を奪われます。

 

でも、その緊張感の末にたどり着いた見晴らし台からの景色は

まさに絶景で、ことばを失います。

上がった息を落ち着かせながら

360度広がるツィンギーの眺めにしばらくボーっとしました。

 

 

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コースにはつり橋があったり、梯子があったり、

通り抜けるのがやっとの狭い隙間があったりと、

まさに、大人のアスレチックコースの様相。

次々変わるコースの局面に対応しなくてはいけないので、

のほほんと歩いている時間がありません。

 

 

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(つり橋からの眺め)
 

 

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(最小限の足場と、ワイヤーロープ)

 

 

コース中盤で訪れる洞窟はヘッドライトを照らさないと

全く視界がないような、真っ暗な中を歩きます。

それも、1時間以上かけて、かなり長い時間洞窟内を歩きます。

 

ガイドさんに置いて行かれないように、必死でついていきました。

 もう、写真を撮っている余裕なんてありません…(苦笑)

 

 

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驚くべきことに、ローカルガイドは、素足に履き古したスニーカーという

「ちょっと、近所のスーパーまで買い物に」くらいのいでたちで

この激しいツィンギーの岩場をすいすいと歩いていきます。

一方の私は、トレッキングブーツにパワータイツ、パワーインナーなどなど

完全装備・・・

 

備わっている人体の資質の違いをまざまざと見せつけられました。

ひ弱な都会人の自分がちょっと恥ずかしくなりました。

 

 

ホテルで作ってもらったサンドイッチを食べてお昼休憩をして、

午後からまた別の見晴らし台に挑みます。

 

午前中のクライミングで体もだいぶ慣れてきて、

勢いづいてきていました。

「次はどんな岩だ?」とワクワクさえしていました。

 

コース途中ですれ違う他の団体の人たちが

ザイルと命綱を使って、おろおろしながらルートを登っているのを横目に

午前中のトレッキングで慣らした体で意気揚々と進むことができました。 

 

 

トレッキング以上ロッククライミング未満

 

全てのコースが終わって、駐車場まで戻った時には

心地よい疲れと、高揚感でいっぱいでした。

 

 1日過ごしてみての感想は、

「トレッキング以上ロッククライミング未満」

という印象です。

 

ロッククライミングほどのガッツリしたコースではないけれど

さりとて、ハイキングというには少々負荷が大きい

でも、普通のトレッキングの装備で

日本では体験できないようなハードなチャレンジと

見たこともない絶景が楽しめるという

とても魅力的な場所でした。

お勧めです!!

 

 

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(風雨の浸食だけで、どうやったらこんな地形ができるのか?) 

 

 

以上、ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区の紹介でした。